老人ホームに入るための条件から入居までの具体的な流れ、よくある質問について解説します。
老人ホームへの入居はどのように決めればいいか、多くの人が直面する問題です。入居条件をクリアして適切な手順を踏めば、安心して親を老人ホームに預けることが可能です。
この記事を読めば、高齢の家族をサポートする知識が身に付き、入居準備を不安なく進められるでしょう。
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老人ホームに入るための条件
老人ホームに入るには、以下のような条件が存在します。
1.年齢
老人ホームの入居年齢は多くの場合60歳以上または65歳以上とされています。医療型施設や特定疾病を持つ40歳以上の人は例外的に入居が可能です。
年齢だけでなく、要介護度や健康状態も入居の判断基準となります。施設ごとに入居要件が異なるため、確認が必要です。

2.要支援・要介護度
老人ホームに入居する際は、年齢に加えて「要支援・要介護度」が重要な基準になります。これは日常生活の自立度を示し、7段階(要支援1・2、要介護1〜5)に分かれています。
要支援は軽度の支援が必要な状態で、要介護はより介護を要する状態です。この認定は市町村の介護認定審査会が行います。
要介護度により、特別養護老人ホームなど介護施設の入居資格が決まり、高い介護度ほど受けられるケアが増えます。
3.必要な医療的ケア
老人ホームに入る際は、医療的ケアの内容を理解することが重要です。
施設ごとに提供するケア内容は異なり、定期的なバイタルチェックや処方薬管理、投薬サポート、インシュリン注射など特定疾患への対応があります。
人工呼吸器の管理、胃ろうや栄養管理、カテーテル・ストーマケアなど専門的な医療ケアが必要なケースもあります。
また、床ずれ予防や疼痛管理、認知症患者の行動支援などの日常ケア、慢性的な症状へのサポートも含まれます。
以下のように、施設側が利用者の安全と快適な生活を守るための体制を整備していることも大切です。
- リハビリテーションサービス(身体機能の改善や維持)
- 緊急時の対応能力
- 24時間体制の看護サービス
- 終末期のホスピスケア
4.保証人・身元引受人
老人ホームへ入る際には、保証人や身元引受人の存在が重要な役割を果たします。
- 保証人:老人ホームとの契約を保証し、入居者の経済的なサポートをする人です。多くの場合、入居者の家族や親族が務めます。
- 身元引受人:入居者が亡くなった際や退去時など、万が一の事態に際して、施設との手続きを代行する人です。
多くの老人ホームでは、この2つの役割を担う人が入居条件となっています。しかし、家族や身近な親族がいない場合でも、外部の保証人サービスや公的機関の支援を利用できることがあります。
保証人や身元引受人には、経済的な安定性や信頼性が求められるため、選ぶ際には慎重に検討しましょう。
5.収入
老人ホームを選ぶ際、ご本人や保証人の収入状況は非常に重要です。
- 収入の内訳: 年金や給料だけでなく、不動産収入や投資収益なども含めて考えましょう。
- 費用の捻出: 初期費用や月額費用をどのように支払うか、具体的な計画を立てることが大切です。
- 補助金の活用: 公的な補助金や介護保険をどれだけ利用できるか確認し、生活設計に組み込みましょう。
収入に見合った施設を選ぶことで、安心して老後の生活を送ることができます。
老人ホームに入るまでの流れ
老人ホームへの入居までは、以下のプロセスを踏みます。主要なプロセスの詳細を順番に解説するので参考にしてください。
1.施設探し
施設選びでは、まず特別養護老人ホームや介護付き老人ホームなど、多様な施設タイプからニーズに合ったものを選びましょう。
予算と合わせて、場所や周辺環境、施設の空き状況も考慮して候補を絞り込みます。
また、各施設の費用、サービス内容、口コミ、評判を比較検討し、家族と相談して最終決定するのがおすすめです。運営方針や将来性も確認すれば、安心して入居できます。
2.見学
老人ホームを見学することで、施設の雰囲気やサービスの質、利用者の様子を直接確認できます。
見学は事前予約が一般的で、訪問時には清潔感やスタッフの対応、介護の質を観察しましょう。さらに、利用者の表情や過ごし方、セキュリティや安全対策、食事の質も注目すべき点です。
レクリエーションや設備の充実度、居室の快適さも重要なチェックポイントです。併せて、入居費用や追加費用について質問し、アクセスや周辺環境も将来の生活を考えて確認すると安心です。
老人ホーム見学時の確認チェックリスト:
- 施設の雰囲気・清潔感
- スタッフの対応や介護の質
- 利用者の表情や過ごし方(満足度)
- セキュリティ・安全対策
- 食事の内容・質
- レクリエーションの種類や頻度
- 設備の広さ・部屋の快適さ
- 入居費用・追加費用の有無
- 立地・交通の利便性・周辺環境
✅ 事前にチェックリストや質問事項を用意すると、入居後の生活をイメージしやすく、効率的に情報収集ができます。
3.体験入居
体験入居は、老人ホームでの生活を短期間試せるサービスです。入居希望者は、施設の雰囲気やスタッフの対応、介護サービスや食事の質を実際に体験できます。これにより、施設との相性を確認でき、入居判断の参考になります。
体験入居の期間や費用は施設ごとに異なるため、事前の確認が必要です。施設側もこの期間を通じて、入居希望者との適合性を見極めます。体験入居は、双方にとって有意義な機会といえるでしょう。
4.入居申し込み
身分証明書、健康診断書、介護保険証などをそろえ、入居申込書に記入して提出します。
また、入居一時金や月額利用料、キャンセルポリシーなども事前に確認しておくと、手続きがスムーズに進みます。
提出書類のチェックリスト:
- 身分証明書
- 健康診断書
- 介護保険証
入居申込書に必要事項を記入し、書類とあわせて提出 → 申し込み完了
申し込み時の確認チェックリスト:
- キャンセルポリシーや手数料の有無
- 入居一時金や月額利用料の詳細説明を受ける
- 経済的な見通しを立てられるよう事前に把握しておく
5.面談・入居審査
老人ホーム入居には、面談や審査があり、入居希望者の健康状態や生活状況、介護ニーズを確認します。家族構成や緊急連絡先の提出も必要です。
面談では、施設の規則や方針の説明が行われ、理解と同意が求められます。同時に費用や支払い方法も確認されます。さらに、医療条件や薬の情報を共有し、施設での対応が可能かを確かめることが重要です。
入居前に生活内容や介護計画について話し合うことで、双方の期待をすり合わせ、安心して入居を始められます。
入居審査・面談時の確認チェックリスト:
- 健康状態・生活状況・介護ニーズの聞き取り
- 家族構成・緊急時連絡先の提出
- 施設の規則や方針の説明 → 理解・同意が必要
- 費用に関する説明(支払い能力・方法の確認)
- 医療条件や薬の情報を提供し、対応可否を確認
- 入居生活のイメージや初期介護計画について話し合い
6.契約
老人ホームへの入居では契約が重要です。契約書には月額利用料や初期費用、支払い条件が明記されているため、内容をよく確認し、納得してから署名しましょう。
また、契約期間や更新・解約の条件も必ず確認しておくことで、将来の生活設計が立てやすくなります。
契約書には以下の記載もあるため確認してください。
- 退去時の条件や違約金についての条項
- 個別のサービス内容と追加料金に関する規定
- 介護サービスの提供範囲と費用負担
- 家族との連絡体制や緊急時の対応ルール施設の規則や運営方針に関する同意
老人ホームとの契約は、入居者の権利と責任を定める大切な手続きです。トラブルを防ぐためにも内容を正しく理解し、不明点は契約前に確認して納得してから進めましょう。
契約時には、施設が提供するサービスの詳細な説明があり、同意が必要です。また、契約前には提出書類のリストも渡されます。
契約は快適な施設生活を始めるための重要なスタートラインですので、丁寧に対応しましょう。
老人ホームの入居に関するよくある質問
老人ホームへの興味が高まり、入居を考える人々から多くの質問が寄せられます。よくある質問の内容に対して回答します。
1.認知症でも入居できる?
認知症の方でも、多くの老人ホームで入居は可能です。施設によっては専門的な認知症ケアを行うユニットやサポート体制が整っています。ただし、受け入れ可否は施設の方針・設備・スタッフの専門性により異なります。
入居前には必ず施設と相談し、場合によっては医師の診断書が必要です。認知症の進行度に応じて適切なケアが受けられるかどうかは施設ごとに違うため、情報収集と事前の確認が欠かせません。
家族が安心できる施設を選ぶには、実際に見学して話を聞くことが大切です。
2.夫婦での入居はできる?
多くの老人ホームでは、夫婦での入居が可能です。ただし、夫婦それぞれが入居条件を満たしている必要があります。夫婦同室を望む場合は、居室の空き状況の確認が不可欠です。
入居時の費用は施設ごとに異なり、場合によっては割増料金が発生する可能性があるため注意しましょう。介護度が変わると別室への移動が必要になる場合もあるため、事前の条件確認が重要です。
3.入居中に介護度が上がった場合どうなる?
入居中に介護度が上がると、より手厚い介護や看護が必要になり、ケアプランの見直しや追加費用が発生する場合があります。
施設によっては、介護度の変化に伴って対応できる範囲が限られるため、事前に柔軟な対応が可能かどうかを確認しておくことが大切です。必要に応じて他施設への転居を検討することもあります。
一方で、同じ施設内で段階的にケアを強化できる「ユニットケア」や「段階的ケア」を導入している老人ホームもあり、入居者が安心して暮らし続けられるよう配慮されています。

まとめ
老人ホームに入居するには、多角的な情報収集が欠かせません。年齢や介護度、医療ケアの必要性に加え、保証人や収入条件など施設ごとの入居条件を確認しましょう。
施設見学や体験入居を活用し、自分に合う環境を見極めることが大切です。また、介護度の変化や認知症対応、夫婦での同時入居可否など、将来の可能性も考慮して選びましょう。
適切な老人ホーム選びは、家族が安心して快適な生活を始めるための第一歩です。慎重に検討しながら、入居手続きをスムーズに進めてください。
参考サイト
- 環境省
- 国土交通省
- 経済産業省
- 遺言相続.com
- 一般社団法人 日本金融人材育成協会
- 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
- 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)
- 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)
- 全日本冠婚葬祭互助支援協会(全冠協)
- 全国儀式サービス
- 一般社団法人 遺品整理士認定協会
- 一般社団法人 日本遺品整理協会
- 一般社団法人 生命保険協会
- 日本損害保険協会
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
記事監修&著者プロフィール
名前:バッハ・杉山
ファイナンシャルプランナー(2級)
現場歴28年。