エンディングノートに書くべき内容と作成時の注意点を解説します。
人生の終わりに自分の意志を残す方法として、エンディングノートが注目されています。しかし、多くの人がエンディングノートの内容を知らないため、いざというときに役立たないかもしれません。
記事を読めば、エンディングノートをどのように書き、どう活用すべきかが明確になるでしょう。
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エンディングノートの作り方のポイント
エンディングノートを作る際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
1.早めに作る
エンディングノートは早く作り始めることが大切です。事故や病気に備えて準備しておけば、家族の負担を減らし、自分の意思も確実に伝えられます。
医療方針や葬儀の希望まで記しておけば、遺された人が迷うことを防げます。早めに作成すれば定期的に見直せ、状況の変化に合わせて更新できる点も大きなメリットです。

2.目的を明確にする
エンディングノートを作る際は、目的を明確にすることが重要です。遺産分割や医療・介護の希望など、伝えたい内容を具体的に考えて記しましょう。
遺産分割の希望は家族間の争いを防ぎ、医療や介護の希望を示すことで望む治療やケアを受けやすくなります。葬儀や埋葬の希望を書けば、家族の負担も軽減できます。
さらに感謝の気持ちやメッセージを残すことで、遺された人にとって心の支えとなるエンディングノートになります。
3.ノートを準備する
エンディングノート作成は、ノートを準備することから始まります。適切なノートを選べば書きやすく、継続もスムーズです。
市販のエンディングノートなら形式が整っており、手軽に取り組めます。無料テンプレートをダウンロードする方法もあり、内容をカスタマイズしたい人は自作も可能です。
おすすめのノートの特徴は以下のとおりです。
- 書きやすい紙質
- ページ数が多すぎないもの
- 保管しやすいサイズ
4.書くべき項目を選定する
エンディングノートに記載するべき項目を選定することは非常に重要です。以下のような項目を選ぶのが一般的です。
- 基本情報(氏名、生年月日、住所)
- 健康状態(既往歴、現在の病気、投薬情報)
- 緊急連絡先(家族、親戚、友人の連絡先)
- 財産リスト(不動産、預貯金、株式、保険など)
- 重要書類の保管場所(契約書、保険証書、遺言書など)
- 葬儀の希望(葬儀の形式、場所、連絡先)
- 介護の希望(施設入所の希望、自宅療養の希望)
- デジタル遺産(SNSアカウント、メールアドレス、パスワード)
- ペットの世話(飼育方法、引き取り先)
- 最後のメッセージ(家族や友人へのメッセージ)
記載する項目により、自分の希望や必要な情報を正確に伝えることができます。家族や関係者にとっても大いに役立つ情報となります。
5.定期的な見直し・更新をする
エンディングノートは一度作成したら終わりではなく、定期的に見直しと更新が必要です。生活や状況は常に変化するため、ノートの情報も更新することが重要です。
見直しと更新のポイントは、以下の項目を参考にしてください。
- 内容が古くならないように定期的に確認する
- 生活や状況の変化に応じて情報を更新する
- 新たな希望や考えが生まれたら追記する
- 家族の意見やアドバイスを反映する
- 法律や制度の変更があった場合に対応する
定期的な見直しと更新を行うことで、エンディングノートが常に役立つものとして機能し続けます。家族や大切な人たちにとっても、最新の情報が記載されたノートは大きな助けとなるでしょう。
エンディングノートを活用するコツ
エンディングノートを効果的に活用するコツは、以下の4つです。
1.自分の希望を明確にする
エンディングノートを活用するには、自分の希望を明確にすることが大切です。家族や関係者があなたの意向を正確に理解し、適切に対応するために必要だからです。
以下のような内容をエンディングノートに書くのがおすすめです。
- 延命治療を希望するか否か
- 特定の医療サービスを希望するか否か
- 宗教的な儀式の有無や、特定の葬儀社への依頼希望
- 財産の分け方、特定の人に遺したいもの
- 家族に伝えたいメッセージ
- 家族が知っておくべき情報や連絡先
自分の希望を明確に伝えることで家族は迷わずに行動でき、あなたの意向を尊重できます。
2.重要書類の保管場所を明記する
重要書類の保管場所を明記することは、家族や信頼できる人が必要な情報を迅速に見つけるために欠かせません。
以下の書類の保管場所を明記しておくことが重要です。
- 銀行口座の情報
- 保険証券の保管場所
- 不動産の権利書の場所
- 遺言書の保管場所
- 年金関連の書類の場所
- 株式や投資信託の情報
- 税務関連の書類の場所
- パスポートや運転免許証の保管場所
- オンラインアカウント情報の保管場所
- 借用書や貸借証書の場所
上記の情報をエンディングノートへ詳細に記入することで、家族や信頼できる人があなたの意思をしっかりと把握し、適切に対応できます。
3.家族や信頼できる人と共有する
エンディングノートは、自分の希望や情報を家族に伝えるための大切なツールです。そのため、家族や信頼できる人と共有することが欠かせません。
ノートの存在や保管場所を知らせておかないと、せっかく書いても役立ちません。必要な時に取り出せる安全な場所で保管しましょう。
また、内容は定期的に家族と確認すると現実的で実行可能な計画になります。共有することで希望が確実に実現し、家族も安心して対応できます。
4.決められないことは家族と一緒に考える
エンディングノートを作成する際、一人で決められない内容は家族と一緒に考えるのがおすすめです。相談すれば迷いを減らし、感情的な負担も軽くなります。
老後の生活なども話し合えば、全員の意見を踏まえた解決策を見つけやすく、家族全員が納得できる形に近づけます。サポートを得ながら進めることで安心感も高まります。
エンディングノートは自分の意志や希望を記録するもの
エンディングノートは、人生の最期に備えて自分の希望や意思を記録するノートです。亡くなった後、家族が迷わず行動できるよう指示を残すのが目的で、感謝の気持ちやメッセージを書くこともできます。
特定の形式はなく、自由に自分らしい形でまとめられるのが特徴です。書き方に決まりはないので、思いや考えをそのまま表現できます。
エンディングノートと遺言書の違い
遺言書は財産分配や遺言執行者の指定などに効力を持つ公的文書で、定められた形式に従って作成する必要があります。内容を変更するには手続きが必要で、手間がかかる点もあります。
一方、エンディングノートには法的拘束力はありませんが、遺族が故人の意向を理解する助けになります。自由に書けるため、意思を柔軟に伝えられるのが大きな特徴です。

エンディングノートに書くべき内容
エンディングノートに書くべき内容は以下のとおりです。
1.基本情報
エンディングノートに記載すべき基本情報は以下のとおりです。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 家族構成
- 血液型
- アレルギー
上記の情報をエンディングノートにまとめることで、緊急時の対応や重要な手続きの助けになります。
一般的な個人情報だけでなく、アレルギーや血液型の情報も、医療対応時には重要です。必要なときに迅速に情報を確認できるよう、漏れなく記載しましょう。
2.保有財産や債務
エンディングノートには保有財産や債務情報も記載します。具体的な内容は以下のとおりです。
- 口座残高
- 有価証券
- 保険の契約内容
- ローン残高
- 遺産計画
所有する財産の種類や価値を明記するだけでなく、住宅ローンやクレジットカードなどの負債も記録しておくことが大切です。こうした情報を残すことで、家族が正確に資産状況を把握できます。
また、年金や退職給付金などの受給権利を記しておけば、手続きがスムーズに進みます。財産と相続に関する情報を整理しておくことで、自分の意思を家族に正しく伝えられるでしょう。
3.医療・介護の希望
医療や介護の希望を記しておくことは、家族や医療関係者に意思を伝える上で重要です。末期ケアや生活環境の要望を明確にすれば、自分の考えを正しく反映できます。
具体的には、人工呼吸器や延命治療の可否を状況別に決めておくことが大切です。臓器提供の希望も書き残しておけば、死後の取り扱いまで伝わります。さらに経済的な準備を整えておけば、遺族の負担軽減につながります。
4.セキュリティ関係
セキュリティ関係の情報も書くべきです。自分が亡くなった後に、残された家族がアカウントなどの管理をスムーズにできます。具体的に記載すべき内容は、以下のとおりです。
- パソコンのIDとパスワード
- SNSのアカウント情報
- オンラインショッピングのアカウント
- サブスクリプションのデータ
- デジタルライセンス
上記以外にもインターネット上で使用しているサービスがあれば、漏れなく記載しておきましょう。アナログな情報の管理ばかりになりがちですが、デジタル資産の管理も重要度が増しています。
5.葬儀・お墓の希望
葬儀やお墓に関する希望の記入も大切です。自分が亡くなった後の具体的な手続きは家族が行います。事前に何をしてほしいかを明確にしておくことで、迷いなく実行してくれるでしょう。
具体的に書いておくべき内容は以下のとおりです。
- 葬儀の形式
- 葬儀の規模
- 葬儀の場所
- お墓の種類
- 遺体の扱い
- 墓石に刻む言葉
葬儀やお墓にも、さまざまな種類があるため、遺族が迷わないように指定してあげると楽できます。必要であれば、葬儀社の選定や墓石に刻む言葉の指定などもしておきましょう。

6.家族や友人への感謝
エンディングノートには、家族や友人への感謝の思いも残しておきましょう。直接伝えられなかった気持ちも、書き記すことで相手に届きます。
支えてくれた人へのエピソードを交えて具体的に綴れば、残された家族や友人に前向きな影響を与え、絆をより深く保つことができます。
エンディングノートを作成するときの注意点
エンディングノートを作成するときの注意点は以下のとおりです。
1.保管場所は家族にだけ伝える
保管場所は家族だけに伝えましょう。重要な個人情報や財産の詳細情報が記されているからです。
信頼できる家族に限定して共有することで、プライバシーを守れます。
保管場所については、具体的な位置やアクセス方法を家族に事前に説明することが重要です。
2.法的な拘束力はない
エンディングノートは自己の意志を残す点で有効ですが、法的な拘束力はありません。最終的な決定は通常、遺族の合意のもとで行われます。ノートは、あくまでガイドラインを提示するためのものである点に注意しましょう。
法的に拘束力を持たせたい場合は、遺言書が適切です。家族や遺族に対して法的な義務を課したい場合は、遺言書を活用しましょう。
3.金融機関の暗証番号は記載しない
エンディングノートに金融機関の暗証番号を記載するのは危険です。盗難や悪用のリスクがあるため、書面に残すことは避けましょう。口頭で信頼できる人に伝える方法はありますが、記録として残すのは不正利用につながりかねません。
エンディングノートはあくまで感情や意思を伝えるためのものです。暗証番号は別の安全な方法で管理してください。
エンディングノートのよくある質問
エンディングノートのよくある質問について回答します。
エンディングノートはいつ書き始めるべき?
エンディングノートの作成時点は任意です。必ずすべきタイミングはありませんが、予期せぬ事態に備えて、早めに準備することをおすすめします。
エンディングノートはどこで保管するべき?
エンディングノートの保管場所は、将来必要とする人がスムーズにアクセスできる場所にしましょう。安全性が確保されていて、信頼できる人が容易に取り出せる場所が理想的です。
まとめ
エンディングノートは、人生の最期に備えて希望や大切な情報をまとめておくノートです。緊急時や死後に家族が手続きを進めやすくなります。遺言書のような法的効力はありませんが、家族にとっては大切な情報源となります。
作成後は信頼できる人が取り出しやすい場所に保管しましょう。生活が落ち着いているときに記しておけば、余裕をもって内容を整理でき、自分の意思を確実に伝えられます。
参考サイト
- 環境省
- 経済産業省
- 一般社団法人 日本金融人材育成協会
- 日本介護協会(一般社団法人)
- 日本在宅介護協会
- 公益社団法人 全国有料老人ホーム協会
- 高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)
- 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会
- 一般社団法人 遺品整理士認定協会
- 一般社団法人 日本遺品整理協会
- 日本リユース業協会(JRAA)
- 一般社団法人日本リユース・リサイクル回収事業者組合(JRRC)
- 一般社団法人 生命保険協会
- 日本損害保険協会
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
記事監修&著者プロフィール
名前:バッハ・杉山
ファイナンシャルプランナー(2級)
現場歴28年。